自然映像に癒やし効果があることは研究で示されています。ただし、映像であれば何でも同じではありません。
地上波テレビや動画配信サイトで広く使われている映像規格は「8bit SDR」(Standard Dynamic Range=従来の輝度規格)です。
一方で風景帖が採用する「10bit HDR」(High Dynamic Range=高輝度・広色域の映像規格)は、より多くの明暗・色を再現できる上位規格です。同じ映像素材でも、この規格の違いで生体反応が異なることが研究で示されています。だからこそ私たちは、映像規格の選択を妥協せず、その根拠を外部研究で確認しながら制作しています。
北海道・美瑛で実際に撮影した映像フレームです。これが「8bit」規格で書き出すと何が起きるかの証拠です。地上波テレビ・スマホ動画・YouTubeのほとんどが、この規格で配信されています。画面下部の空を、よく見てください。
実写映像フレーム(8-bit書き出し)
黄枠内を右に拡大しています。木の右側に見える白い輝点が夕日です。そこから放射状に広がるグラデーションは明るさが極めて緩やかに変化します。8bitの256段階ではその変化を表現しきれず、縞状の段差(バンディングノイズ)が生じます。
風景帖の映像は10-bit(1,024段階)で収録されており、この段差が肉眼では区別できない限界以下に抑えられています。実際の映像品質は、初月無料のトライアルでご体感いただけます。
1チャンネルあたり256段階で色を表現する方式で、1990年代から地上波・DVDに広く使われてきた規格です。日常のスナップ写真には十分ですが、空のような緩やかなグラデーションを256の「段」で近似すると、肉眼でも識別できる段差が生じます。
10bitは1チャンネルあたり1,024段階。段差が肉眼の識別限界以下まで細かくなり、グラデーションが連続して見えます。脳が「自然な光」として処理できる条件が整います。
不自然な縞は、意識しなくても脳が「補正しようとする」処理を引き起こします。その無意識の負荷が、リラックスや注意の回復に向かうべきリソースを消費します。待合室や共用スペースという「何もしない時間」を質の高い休息にするには、脳に余計な仕事をさせないことが重要です。
この問題を認識した上で、私たちは外部の査読論文も参照しながら映像規格を選んでいます。以下は、映像規格の差が実際の生体反応に影響することを示した研究です。
主観評価ではなく、皮膚温度・脳血流・心拍数という生体信号で測定した実験です。
| 規格 | ビット深度 | 色域 | 輝度 |
|---|---|---|---|
| BT.709 | 8bit | Rec.709(従来) | SDR |
| BT.2020 | 10/12bit | Rec.2020(広色域) | SDR |
| BT.2100 HLG | 10/12bit | Rec.2020(広色域) | HDR |
皮膚温度(副交感神経優位=リラックスの指標)
BT.2100(広色域・HDR)で動物を含む自然画像を視聴した際、被験者12名中10名が安静時より皮膚温度が上昇し、有意差が確認された(p = 0.000)。皮膚温度の上昇は副交感神経の活性化を示す。
脳血流動態(右脳のヘモグロビン濃度変化=脳活動の代替指標)
映像規格の主効果に有意差あり(F=3.824, p < 0.05)。BT.2100 vs BT.2020 間で有意差が確認された。BT.2100視聴中は感性・映像処理に関わる右脳の活動が穏やかに安定する傾向が見られた。
主観評価(フラストレーション)
被験者12名中7名が、BT.709(8bit SDR)視聴後にフラストレーションのスコアが最も高くなった。広色域・HDRの映像規格ほどストレスなく視聴できることが示唆された。
著者らの結論:「高品質な映像条件で視聴することによって、実際に見る景色に近づき、自然の中にいる時と同等の癒やし効果を得られる可能性が高いことを示した。」
※被験者12名・単施設研究であり、結果はすべての環境・対象者に同一の効果を保証するものではありません。
※統計記号:p は有意確率(p < 0.05 で「偶然でない差」と判定)。F は分散分析の検定統計量。以下の論文でも同じ基準を使用しています。
実験1:HD-SDR vs 4K(UHD)-HDRで、4K(UHD)-HDR群が有意に没入感が高い(F=295, p < 0.001)。
実験2(解像度とダイナミックレンジを独立変数に分離):
HDRの主効果:有意(p=.038)——没入感を高めたのはHDRの効果
解像度(4K(UHD) vs HD)の主効果:有意差なし(p=.83)
解像度(4K vs HD)ではなく、ダイナミックレンジ(HDR)の有無が没入感を左右したという重要な知見。
主観的ネガティブ情動(PANAS-NA)の変化:
・4K条件:刺激提示前→後で有意に低減(p < 0.05)
・自然環境音条件:有意に低減(p < 0.01)
・HD条件:低減傾向を示すが有意差には至らず
4K映像とHD映像は内容が完全に同一であるため、差異は解像度(高精細さ)の違いのみに帰因できる。4Kの高精細さが臨場感・没入感を高め、その結果ネガティブ情動の低減が安定して現れたと著者らは考察している。
生理的指標(LF/HF比): 全条件で有意差なし。自律神経への影響は今回の負荷強度では検出されなかった。
Hinde (2022) との対応:Hindeが「没入感を高めるのは解像度ではなくHDRの効果」を示したのに対し、川久保ら(2015)は「4K解像度がHD映像より主観的ストレス感を安定して低減させる」ことを示している。測定対象(没入感の客観的行動指標 vs 主観的感情評価)が異なるため両者は矛盾せず、風景帖が備える4K・HDRの組み合わせが、それぞれ独立した経路でストレス低減に寄与する可能性を示唆している。
※被験者は大学生(平均21.3歳、女性85%)であり、医療施設の患者層への外挿には慎重さが必要です。また生理的指標では有意差が確認されておらず、主観的効果にとどまります。
施設での臨床研究など、自然映像が患者・入居者にもたらす効果の科学的根拠は別ページにまとめています。
自然映像の科学的根拠を見る →
上記の研究が効果を確認した映像規格と同等の仕様で、すべての映像を制作・収録しています。
| 仕様 | 風景帖の規格 | 意味 |
|---|---|---|
| 映像規格 | BT.2100 HLG 相当 | 地上波テレビ(BT.709)の上位規格。NHK・BBC主導で策定されたHDR方式。篠原ら(2021)が最も高い生体効果を確認した規格と同等 |
| ビット深度 | 10bit | 約10億7,000万色。バンディングノイズが識別閾値以下に |
| 色域 | Rec.2020(広色域) | 可視光の約76%をカバー。従来のRec.709(現在の地上波テレビ・Blu-rayの色域=約36%)の約2倍。BT.2100はRec.2020の色域をそのまま継承 |
| 輝度 | HLG(Hybrid Log-Gamma) | NHKとBBCが共同開発。HDR対応モニタでは高輝度・広色域でフル表現、SDR対応モニタでも映像が破綻せず自然に再生される、両対応に優れた規格 |
| 解像度 | 4K(3840×2160) | UHD(Ultra High Definition)とも呼ばれる規格。フルHDの4倍。遠景の木の葉一枚まで記録 |
| 再生方式 | 完全オフライン・ローカル再生 | YouTubeのような圧縮・帯域制限なし。収録品質のまま届く |
| 撮影形式 | 12-bit ProRes RAW ※1 | 映画・テレビCMの制作現場で使われる収録形式。カメラ収録段階から12bitの階調情報を保持。編集・マスタリングによる画質劣化を最小限に抑える |
※1 一部シーンを除く。
※ 映像の最終的な表示品質は、お客様にご用意いただくモニタの性能に依存します。HDR10(現在最も普及しているHDR規格のひとつ)対応の4Kテレビをご使用の場合に本来の画質でご覧いただけます。
HDR非対応(従来のSDR)のモニタをご使用の場合、HDRの高輝度表現は再現されませんが、映像が破綻することはありません。地上波放送に近い水準の、自然で見やすい映像としてご覧いただけます。
本ページで引用した研究結果は、それぞれの実験条件下で得られたものであり、すべての環境・対象者に同一の効果を保証するものではありません。篠原ら(2021)は被験者12名・単施設の研究であり、今後のさらなる検証が必要です。風景帖は医療機器・医薬品ではなく、疾病の治療を目的としたものではありません。
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